会計ソフトなしで青色申告を乗り切る!~ある個人事業主の確定申告事例
こんにちは、2019年度の確定申告期限が迫ってきましたね
「青色申告」≒「複式簿記」ですので、会計に明るい人でもない限り、とても敷居が高く感じるのではないでしょうか。
私もこれまでは自信のなさから、過去2-3年はクラウド系の会計ソフトを使っていましたが、2019年度分の確定申告はなしで乗り切りました
ざっくり言いたいことは「IT系で売上計上が月イチとか少なければ会計ソフトなくてもなんとかなる」です^_^
IT系でなくても何とかなるかもしれませんので、IT関係者以外の方でもご興味とお時間があれば流し見してみてください
【なぜ会計ソフトなしで乗り切ろうと思ったのか】
当初から無条件に会計ソフトなしで今年度はやってやるぞー!と思っていたわけではありません
直接的には次の4つ目に記載したMFクラウドの料金体系の変更ですが、それを補って余りある理由があります
- 仕訳が比較的単純
- 事業以外の申告内容の負荷が会計ソフトを使っていてもいなくても大差ない
- e-Taxに慣れてきて、単体でもまあまあ使えるモノであることが分かってきた
- MFクラウドが料金体系を変えてきた(2019年から)
- いざとなれば修正申告すればいいから
一つ一つもう少し説明をいたします
1.仕訳が比較的単純
私のようなIT系の場合、職業がら仕訳があまり複雑ではありません
2.事業以外の申告内容の負荷が会計ソフトを使っていてもいなくても大差ない
やった方はわかると思いますが、確定申告は大きく2種類あります
「所得」と「決算」で、事業関連の申告は主に「決算」の箇所に該当します
→結果的に「決算」で出た所得が「所得」の申告にも引き継がれます
<「所得」の申告って...>
個人事業主でなくてもやらなくてはならない場合とやったほうが得な場合があるので、サラリーマンの方でも経験あるかもしれません、私もサラリーマン時代から主に投資系の項目で利用していました
代表的なものとして医療費控除(10万円以上の負担分の還付)、サラリーマンでも本業以外に20万以上の所得がある場合の申告、株式売買の損失繰越(翌年以降、利益が出た場合に損益通算して源泉徴収税が還付される可能性があります)、住宅ローン控除、ふるさと納税に代表される寄付金控除などです
この「所得」の申告部分は会計ソフトではあまり親切なフォローがされていません
私自身はこれら全てとプラスアルファの申告をしているのですが、結構手間がかかるので「なんで会計ソフト使っているのにこんなに手間がかかるのか」と毎年思っていた次第です、で「決算」部分も何とかできそうなメドがついたので「会計ソフトなんてやめてやる!」^_^となった今年でした
3.e-Taxに慣れてきて、単体でもまあまあ使えるモノであることが分かってきた
これは2で言及した事業関連の申告に関連する「決算」部分のことです
固定資産税や貸倒引当金は、それぞれ元データさえ入力すれば自動計算してくれます
固定資産税は事業割合も入力できます
原則仕訳のサマリーをe-Taxに入力していくだけなのですが、期首期末の仕訳で良く分からない点があり、ここが私にとってはちょっと知恵のひねりどころでしたが、何とか乗り切れました(後述)
e-Taxそのものは、サラリーマン時代通じて10年ぐらい慣れ親しんでいることもあり、期首期末の仕訳以外で引っかかるところは私はありません
4.MFクラウドが料金体系を変えてきた(2019年から)
要するに途中まではMFクラウドを使って申告するつもりだったのですが初夏ぐらいに料金体系が変わり、私の用途では割高になってしまいました
ただ解約したわけではなく、フリープランのような契約の状態に変更しています
5.いざとなれば修正申告すればいいから
これをあえて挙げた理由は大きく2つあります
<その1>
おおっぴらには言いにくい根拠なんですが、お上が気にするのは納税そのものであって、帳簿はその根拠にすぎない、という点です
- 適時適切な納税、特に「期限までに(売上の!)申告漏れなく=過少申告しない」行うことが重要です
白色申告とは異なる「複式簿記の帳簿」の管理がプレッシャーですが、一義的には「納税」が大事です、一部業種によっては複式簿記を付けてはじめて正しい納税額が判明するようですので、それら業種では白色申告と青色申告の差はかなりあるのだと思います
繰り返しとなりますがIT業はじめとする一定の業種では複式簿記はオーバースペックであり、白色申告と大差ない感覚でいけます - 帳簿は大事ですが神経質になる必要はない
出入りさえ抑えていれば納税額はだいたいあっているはず、帳簿の修正は後でもできます/納税額に差が出なければ修正申告の必要もないはず
税務署の人は親切に教えてくれます、上記と絡みますが、税務相談に出向いた際、ちょっとした間違いなら訂正不要とまで言ってくれました...固定資産税や減価償却費を求める際、税率や償却率の掛け算で小数点以下の丸め方が正確にできておらず差が出たことがあります
余談ですがたまに税務署を敵対組織と思っている人いますね^_^、正しく納税とか申告すれば全然問題ないです、間違っていても客観的に指摘してくれるし丁寧に説明をしてもらえます
<その2>
私が心情面で楽になった出来事です、申告テクニックではないですが、こういう心構えであれば皆さんも気楽に臨めると思います
あるベテラン個人事業主の方に「確定申告大変ですよねー」といった会話をしたとき「とりあえずさっとやっといて後で修正申告すればいいんですよ」と軽く言われたことがあります
行間読むと(忙しい年度だけだと信じたいですが)修正前提で適当にやっているんだと思います^_^が、前述の通り納税額にさえ大きな差がなければ総じて問題ないはずですし、まじめに取り組んでいる人でも間違えて修正申告が必要なこともありえるわけですから
【会計ソフトなしでいける?向き不向き】
仕訳の手間だけの問題とお考えください
- 製造原価の計算とか仕掛が関係するとか翌年度に繰り越さねばならないものが多い人は仕訳が複雑なので会計ソフトなり税理士さんの助けは必要と思います
- IT関連はイメージつくのですが、売上と経費ぐらいしかないですよね
私の場合、固定資産の減価償却で事業割合の按分があるためその点が申告を複雑にしていますが、固定資産が関係ない方はとても簡単だと思います
また年末の売上は入金は翌年になりますので売掛金が残る=貸倒引当金を計上する、という点もちょっとだけ手間がかかります - ある飲食店の方と「今は税理士さんに任せているけど簡単そうなので来年から一人でやってみようと思う」というお話を伺いました
IT業に比べると仕入れがあるので仕訳はちょっと面倒かなと思ったのですが、売上の点では掛がない(その場で支払ってもらう)商売のため、この点はむしろ私より管理が楽なわけで、確かに税理士さんや会計ソフトなしでも大丈夫な気がします - 私のように事業主貸、事業主借を多用することになる人は向いていると思います
事業用の銀行口座、クレジットカードをちゃんと用意しちゃんと使い分けられている方は事業主貸/借をあまり使わないと思いますが、私と比べると現金勘定や未収金など、中間的な科目を使うことになるはずですので、向いていないわけではないですが、私よりは手間がかかると思います
私の場合、経費は全て事業主借ですので仕訳がとてもシンプルになります
【私がやった対応方法と考慮点】
日々の出入りは「損益計算書」に要約されることになります
e-Taxでは日々の出入り(仕訳)の集計結果を「損益計算書」に登録していきますが、自動計算すべきところはe-Tax側がちゃんとしてくれます
仕訳の科目単位のサマリーをe-Taxにセットすることになりますね
普通に表計算ソフトのExcelやSpreadsheetが使える方なら簡単ですよね、ピボットテーブルなんか使えたら鬼に金棒です
私はIT業者ですので、この辺りは当然使えます...ていうかそうでなきゃ商売柄困ります
問題は期首期末に多い特殊な仕訳です
やり方はそれぞれなのでひとまず当記事中でやり方の詳細説明は割愛しますが、ざっと次の点は気にする必要があるでしょう
a.(特殊でもないですが大事)昨年分の売掛金も含めた入金仕訳→これで売掛金が減り、翌年に繰り越される売掛金だけが残ります
b.貸倒引当金の処理→前回分の繰戻、今回分の繰入
(売掛金が翌年に残らない人は関係ありません)
c.固定資産がある場合の減価償却費の仕訳→これで貸借対照表の期末の固定資産評価額が減ります
殆どの方は100%事業用ということがないと思います、その点要注意!非事業分を事業主貸-固定資産で仕訳しないと貸借対照表で合わなくなります
ex)40%事業の自家用車があった場合
40%の金額:減価償却費-車両運搬具
60%の金額:事業主貸-車両運搬具
d.期首の元入金:私の場合
次の式は貸借対照表および仕訳帳の左右に対応しています(借方、貸方というやつですね)
売掛金(昨年売上の未入金分)+(前年末の)固定資産評価額=(去年の確定申告の)貸倒引当金+元入金
元入金以外は数値がはっきりしていますので、元入金をこの式で算出することになります
ということで固定資産関係ない方の場合は元入金=売掛金-貸倒引当金となり、とってもシンプルですね
【前提】
文中にも出てきていますのでお分かりとは思いますが、念のため
【まとめ?】
ということで、確定申告まだの方、間に合ってください^_^
当記事で少しでも気分が軽くなれば幸いです